日帰り・短期入院適応疾患と入院期間
下の表は現在の入院期間です。大学病院などと比較して、あまりに短い入院期間なので驚かれる患者さんもいます。しかし、アメリカでは、今サージセンターで行っている多くの手術が日帰り手術で行われています。
保険制度の違いなどの要因があり、すべてそのまま日本に取り入れるわけにはいきませんが、短期入院で手術治療が可能であることは事実です。
入院期間
アレルギー性鼻炎 (レーザー手術+後鼻神経凍結手術) | 外来手術 |
---|---|
接着法 (鼓膜の小さな穿孔閉鎖) | 1日 (日帰り手術) |
滲出性中耳炎の手術 (鼓膜チューブ留置術) | 1日 (日帰り手術) |
いびきの手術 (軟口蓋形成術) | 1日(日帰り手術)または2日 |
声帯ポリープの手術 (ラリンゴマイクロ手術) | 1日(日帰り手術)または2日 |
アデノイドの手術 | 2日 |
慢性中耳炎の手術 (鼓室形成術) | 1日(日帰り手術)または2日 |
高度アレルギー性鼻炎(後鼻神経切断手術) | 1日(日帰り手術)または2日 |
鼻閉の手術 (鼻中隔矯正術、粘膜下下甲介骨切除術) | 1日(日帰り手術)または2日 |
慢性副鼻腔炎の手術(内視鏡下副鼻腔手術) | 2日 |
手術日
火曜日・水曜日・木曜日
手術前検査から退院までの流れ
1手術前検査
- 手術日の約3週間前に手術に必要な検査を行います。
- 手術、麻酔を安全に行うために血液検査(貧血の有無、止血機構、感染症の有無)、胸部X線、心電図、尿検査などです。
- 場合により、CT検査、肺活量検査、臭いの検査を行うときもあります。
- 時間は1時間から1時間30分かかります。
喫煙されている方・アルコールをたしなむ方は手術日の4日前より禁煙・禁酒して下さい。
2手術説明と術前検査結果説明
- 手術日の約1-2週間前に行います。
- 行なった検査すべての説明と手術を受けるにあたり具体的に説明を行います。
その内容として、現在の病状、手術の必要性、手術の方法、難易度、手術時間、麻酔の方法、術中、術後の痛みの程度、起こりうる合併症とその対処方法、術後の安静度、仕事の再開や運動開始の時期、術後の通院治療の必要性などです。
一緒に来院された家族の方にも説明を行います。 - 未成年の方は必ず保護者同伴で来院ください。
- 血液検査の結果は説明後すべてお渡しします。
- 手術を行うための絶食・絶水の時間をお知らせします。厳守して下さい。
- 説明日にお渡しする書類は手術承諾書、入院案内、治療計画書(クリティカルパス)、手術説明書、検査結果です。
- 入院、手術の費用につき概算をお伝えします。
- 他病院からの内服薬がありましたならご持参ください(高血圧、糖尿病、心臓、血栓溶解剤など)。薬によっては手術前より一時的に中止していただく場合もあります。
- 糖尿病、心臓、高血圧の食事療法を行っている方は申し出てください。入院中も治療食を準備いたします。
3入院日
- 手術前日は入浴、洗髪をして結構です。
- 説明時にお知らせした絶食・絶水を守り、指定時間に来院してください。
- 血圧、心臓の薬を服用中の方は絶食水に関係なく朝6時までに少量の水で必ず服用してください。
- 糖尿病の薬やインスリン注射については手術時間に合わせお伝えします。
- いずれの薬も当日必ず持参してください。
- 来院時は化粧、マニュキュア等はお控えください。
4入院より手術まで
- 来院時、手術承諾書をご提出ください。
- 2階病室案内後、病棟案内、オリエンテーション、インターホン、手術着等について説明します。
- 血圧、糖尿の薬を持参された方は看護婦にお見せください。
- 入院時に血圧、体温等の測定があります。
- 手術前は化粧をとり、時計、指輪、コンタクトレンズ、入れ歯、さし歯、ネックレス等は外してください。髪の長い方は束ねてください。
- 前もってお知らせしますが、手術室入室、30分前に排尿をすませ、手術着に着替えます。その後、痛みや不安のない状態で円滑に手術するため、筋肉注射、もしくは内服薬があります。
(全身麻酔の場合、手術により筋肉注射、内服薬が不要のときもあります) - この注射、飲み薬のあとは、ふらついて転倒する恐れがあるため、必ず、ベット上で安静にしてください。
- 家族の方は、手術室入口まで同行できますが、後は病室でお待ちください。
5手術室入室より手術開始まで
- 手術台に横になり、通常、右手に血圧計、左手に点滴のラインを採ります。また胸に心電図のシールを貼ります。
- 点滴のチューブより、痛み止めの薬、リラックスする薬を入れますので眠たくなる感じがするでしょう。
- 手術部位に合わせて、敷布をかけます。
- 手術開始まで、約15分です。
【全身麻酔の場合】 - 点滴のラインをとりますが、これだけがチクリとしますが他に痛みを感じることはありません。
- 酸素マスクを合わせて、点滴のチューブより麻酔薬を開始、深呼吸をくり返しているうちに、スーッと眠たくなります。麻酔が安定したら手術開始です。
6手術後について
- 点滴をしながら病室に戻ります。
- のどに分泌物が流れ込むのを防ぐために、口の中に血液が溜まったら出してください。
- 手術後3時間は、横向きになり出しやすくします。
- 血圧、体温、呼吸、出血の有無の観察のため看護師が伺います。
- 点滴は抗生物質が終了しだい、安定していれば抜きます。
- 痛みがあるときは、痛み止めをお渡しします。削除
- 安静時間(約3時間)が解除となれば、トイレのみ歩行可能となり、食事も状態に合わせてお出しします。
(例) 慢性副鼻腔炎(全身麻酔の場合)・アレルギー性鼻炎・鼻中隔弯曲症 - 病室に戻り、酸素吸入を3時間ほど行います。
- 枕をせず横向きとなり、口の中に溜まったつばや血液を出しやすくします。
- 麻酔が十分さめれば、うがいを開始します。
- 安定していれば水分は3時間後より、食事は4時間後より可能です。歩行はトイレのみ可能となります。
- 痛みがあれば痛み止めの薬をお渡しします。
(例) 慢性中耳炎(全身麻酔の場合) - 病室に戻り、酸素吸入を3時間ほど行います。
- 手術後4-5時間ぐらいで歩行可能となりますが、めまい、吐き気などの症状、
また、手術方法や麻酔の覚醒状態により変わります。 - 手術の耳には滲出液の流出を防ぐため、ガーゼをあて、包帯で固定します。
- 手術を受けた耳が下にならないよう、横向きか仰向きで休んでください。めまい感を伴う場合でも、この体位のほうが症状は軽くなり、吐き気などを予防できます。
- 安静が解除され、トイレ歩行の許可が出ても、ふらつきやめまい、吐き気などの可能性がありますので、必ず看護師の介助にて歩行となります。
- 痛みのあるときは、痛み止め薬をお渡しします。
- 手術室からの点滴は終了しだい安定していれば抜きます。
- 食事開始はめまい、吐き気などの症状もなく、安定していれば、4-5時間後より可能です。
- 弾力包帯の圧迫による痛みや不快感、また包帯のずれ、ゆるみなどがあれば申し出てください。
- 鼻は許可があるまでかまないでください。
(例) 慢性扁桃炎、アデノイド増殖症(全身麻酔の場合) - 病室に戻り、酸素吸入を3時間ほど行います。
- 手術後は横向きとなり、のどに血液が流れるのを防ぎ、口の中に溜まったつばや血液を出しやすくします。
- 手術後、特に飲む込むときの痛みがあれば、痛み止めの薬をお渡しします。また、痛みの続くときは坐薬を使います。
- 麻酔が十分に覚めていれば、うがいを開始します。うがいを行うことで、口の中の乾燥や、傷の清潔を保つことができます。食事後には必ずうがいをしましょう。
- 咳払い、大声、大きなあくびなどは傷口の安静の妨げになります。
- 入院中は流動食から軟食となります。固形物は禁止です。
(食べて良いもの:ゼリー、ヨーグルト、スープ、粥、プリン、牛乳など)
(清涼飲料水、ジュースなどは飲み込みにくい) すべて削除
(例) 声帯ポリープ、喉頭手術(全身麻酔の場合) - 病室に戻り、酸素吸入を3時間ほど行います。
- 点滴は終わり次第抜きます。
- 水分は、約3時間後より、食事は約4時間後より可能です。
- 声帯ポリープの手術を受けられた方は、声帯の安静のため、沈黙療法(声を出さない)が必要です。
約5日間程度の沈黙が望ましいですが、詳しくは担当医から説明します。 - 金属製の機械を口の中から挿入、固定しての手術ですので、手術前の歯の状態、特に前歯を治療中の方や差し歯(固定も含む)の方は、手術説明の時に、詳しく確認させていただきます。
- 手術は日帰りで行われる場合が多いため、術後数時間、経過を観察し、麻酔後の状態が安定している事を確認し、退院が決定されます。削除
- 退院後も無理をされることなく、一晩は安静を保ってください。
7退院について
- 診察後、退院が決定します。
- 退院後の生活について、注意していただく点につき、用紙をお渡しして説明します。
(連絡方法についても説明) - 退院時の精算は外来受付にて行います。そのときに持ち帰りの薬の説明と、
次回の診察日が記入された紙をお渡しします。
面会時間のご案内
- 現在、当院では御面会を行っておりません。