滲出性中耳炎の手術
鼓膜麻酔
鼓膜切開、穿刺、鼓膜チューブ留置を行う場合鼓膜麻酔を行い、痛みのコントロールを十分に行うことが重要です。その方法として、成人、あるいは小学校高学年では、ボナン氏液(パントカイン、メントール、フェノール、エタノールの混合液)による麻酔で可能であり、幼児の鼓膜切開では外耳道に麻酔液(4%キシロカイン)を注入、弱電流を流すことにより麻酔するイオントフォレーゼ法でほぼ無痛が得られます。幼児の鼓膜チューブ留置は、当センターでは全身麻酔による日帰り手術にて行っています。
鼓膜切開
鼓膜麻酔後、鼓膜切開刀にて切開を行います。目的は中耳腔の滲出液を除去することにより、難聴を改善させるとともに、切開孔を通して中耳腔の換気を行い、中耳の炎症の消退を図ります。切開孔は3日から1週間程度で閉鎖します。
鼓膜チューブ留置
鼓膜切開などの治療に抵抗する難治例では、中耳腔の持続的な換気を目的として、鼓膜にチューブを挿入します。幼児以外では鼓膜麻酔を行うことにより、外来にて可能ですが、幼児の場合は全身麻酔にて日帰り手術として行います。チューブには短期留置型(2-3ヶ月)と長期留置型(1年程度)があり、滲出性中耳炎の程度により選択します。チューブの抜去は外来で簡単に行えます。
正常鼓膜
滲出性中耳炎の鼓膜増鼓膜を通して黄褐色の液が見えます。
鼓膜チューブ留置後